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東洋蘭・楽焼鉢「短冊屋紫金牛鉢」          No.468
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◆2013年3月、。   東洋蘭楽焼鉢「短冊屋製紫金牛鉢」(こうじばち)

東洋蘭・楽焼鉢「短冊屋製・紫金牛鉢」(こうじばち)、。
この形の鉢を「紫金牛鉢」と呼んでいますが、手島揫二窯と福富京楽堂のカタログに「紫金牛鉢」とありますので、それを根拠に使用しています、。

自分の鉢でもないのに気に入りの逸品で、洗練された曲線には気品を感じるのです、。無理をした形跡が見えない完成されたデザイン性が好きです、。
短冊屋の窯元絵付で簡素な絵付けの中に「これで十分、これ以上の絵付けは要らない、」と思わせる力を秘めています、。楽焼鉢用語では「裾模様」に相当するものです、。(繰り返し繰り返しよくよく見たら、これは絵師絵付けですね、。白く細かな点々やその他の部分の手馴れた描き方など、どう見ても「絵師」の手になる絵付けです、。すみません、訂正しておきます)、。
深い緑色の輪郭線の中に鉢下部にだけ草花紋が描かれています、。明治初期~中期ごろの製作、。
(飛田邦之氏蔵)、 口径12.8センチ、高さ12.6センチ


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ところで、短冊屋のこの鉢にも輪郭線や草花の葉に使用されている「深いが青みを交えて魅力的な緑色」を描いてある顔料は何と言う顔料だろうか、と前々から考え続けてきました、。
人を介して現代陶画工の第一人者・布施覚氏に問い合わせたところ、「当時どういう顔料を使ったかは分からない、。自分は当時の鉢に使用されている緑色に似せてアレコレ混ぜて作っている、」ということでした、。

思いもよらず、一つの答えに出会いました、。
「シルクロード」は(現在では)中国の河南省・洛陽を起点とし、シリアのアンティオキアまでの陸路の交易路を呼ぶ呼称です、。
しかし、その交易品は中国から日本へもたらされていた事実があります、。また西方はシリアで終わるのではなく、海路で地中海を得てヨーロッパ各国へと運ばれたのも事実です、。シルクロードの実際は「日本と地中海とを結ぶ歴史的な交易路、」だと言えるでしょう、。


シルクロードがシリアまで陸路で「絹織物」や「玉」を運んだあとは、シリア(またはトルコ)からは地中海を海路で欧州へ運ばれました、。シリアやトルコの沖合すぐのところに「キプロス島」があります、。
この「キプロス」で産する土、キプロスの一部の崖状の地層から、岩の間に層をなして「テールベルト」terre verte(和名:緑土)と呼ばれる緑色の土(高知県のダケ土のように岩状になっている)があります、。
「テールベルト」の色の範囲は広く、浅い緑色から深い緑色まで、また乾燥すると「緑青」のような青色を発色するものまで存在します、。キプロスは貧しく、この「テールベルト」は今から50年ほど前の昭和20年代まで、「顔料」として世界中へ輸出されていたのです、。
「テールベルト」顔料のもっとも有名な使用先はギリシャ正教の「イコンと呼ばれる宗教画、」です、。ギリシャ正教のイコンには欠かせない色であったようです、。


前にも書きましたが、シルクロードの隊商は、絹織物を売った帰路にはペルシャ(イラン)で「呉須原石」(ごす)を買い入れ、アフガニスタンでは「瑠璃の原材料であるラピスラズリ」を買い入れて中国へ運び、それらは日本へと伝えられました、。「瑠璃釉薬」と「呉須」という「顔料」を買い入れ運搬したなら、「緑色の顔料であるテールベルト」もシリアで売られていたでしょうから買って帰ったに違いありません、。
テールベルトの色は正に、探していた「緑青のような青色を含んだ深い緑色」そのものです、。「土製顔料」であるところも、窯で焼いても変色しない顔料、という条件に合致します、。シルクロードの西の端のキプロス産の顔料が、シルクロードの東の端の日本の国で「楽焼鉢の顔料」として花開いたものなのでしょう、。

千に一つ、万に一つTerre Berte でなかった場合は、「マラカイト」でしょう、。「マラカイト」は「岩緑青」とも「天然緑青」とも呼ばれ、「孔雀石」を粉砕したものですが、この方は、かなり鮮やかな緑色を発色します、。
風来記では「テールベルト」であって欲しいところです、。「ラピスラズリ」「呉須」「テールベルト」と繋がれば、シルクロードの昔へと夢とロマンが繋がりますから、。


尚、ネット住民である御常連さんは早速「テールベルト」で検索されることでしょう、。・゚・(。つ∀≦。)・゚・。、しかし、そこに出て来る答えは現在では化学薬品で合成した「テールベルト6号」と呼ばれる「抹茶」のような渋く深い緑色をした油絵具や日本画顔料で、「楽焼鉢」に使われた、あの緑色ではありません、。天然物でしか出ない複雑な色は持ち合わせていません、。
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文中「マラカイト」の項で出て来る「孔雀石」は下画像の緑色の石です、。青色部分は「アズライト」です、。「ラピスラズリ」が余りに高価格なので、広い面積の「空」を描く時や「ラピスラズリ」の下地として使われた顔料です、。
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by evian_th | 2013-03-01 00:07 | 東洋蘭鉢・楽焼鉢・古鉢・ラン鉢
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