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「野々村仁清の紺や紫」と「楽忠の瑠璃」           No.566
「野々村仁清の紺や紫」と「楽忠の瑠璃」           No.566_b0034163_01373040.jpg
◆2016年7月9日、。   「野々村仁清の紺や紫」と「楽忠の瑠璃」

この文章を読んで頂くには、下2つの記事も参考に見て頂きたいので、クリックで各スレッドへ飛ぶようにしています、。
◆2015年12月、スレッドNo.553、「瑠璃釉薬の顔料」


◆2010年12月、スレッドNo.378、「楽焼鉢の顔料」


(このスレッドは、下スレNo.563「京焼から進化した楽焼」の最後の章の続きです)
黒一色だった「楽焼植木鉢」に最初に絵付けされた「顔料」が上画像にありますように「瑠璃釉」です、。
ところが今のところ、この時の「瑠璃釉薬」に用いられた「顔料」が判明しておりません、。

江戸時代初期(1600年代)、丹波の国桑田郡野々村に生まれた「清右衛門」という陶工がいました、。若い頃は京都粟原口(あわたぐち)や瀬戸で修業を積み、1644年~1648年頃に金閣寺の西方の仁和寺の門前に「御室窯」(おむろがま)を開き、生まれ故郷から姓を取り、仁和寺の「仁」と「清右衛門」の「清」を取って名を取り「野々村仁清」(ののむらにんせい)と名乗るようになります、。
江戸初期の京焼は、この野々村仁清と絵師・尾形光琳の弟で陶工の尾形乾山という二大巨匠によって非常に栄えます、。
尾形乾山はどちらかというと土着の落ち着いた陶器を製作したのとは対照的に野々村仁清は多彩な色調とモダンな意匠の陶器を作りました、。Google検索窓に「野々村仁清」と打ち込んで頂くと沢山の作品画像が出て来ます、。

その野々村仁清が「青色」「紺色」「紫色」を出すのに用いた顔料は風来記2010年12月スレッドNo.378「楽焼鉢の顔料」の末尾に書いています、。
ただし、「瑠璃色」というのは「青色」でも「紺色」でも「紫色」でもなく、もっと輝くような艶のある色だと思うのです、。野々村仁清の作品画像の中から瑠璃色に近いかなと感じる茶碗画像を上に掲載しました、。似ているかも知れないし違うかも知れませんが、もし同一なら、「ラピスラズリ(瑠璃)」を使わずにあの時代に「瑠璃色」は出すことが出来た事になります、。
ただし、上段の瑠璃色に見える所の下半分は緑色になって来ていますから。ここは「岩群青(アズライト)」を使用してあり、350年という時間の経過で酸化が進み「岩緑青(マラカイト)」に変化したものと思われます、。このように「岩群青」だけでは化学的安定性に欠けるのです、。下画像の楽鉢の「瑠璃釉」は同時期の製作なのに「瑠璃色」は変色せず安定していますから、「岩群青」よりも安定性の良い顔料を使用してあります、。それが「瑠璃(ラピスラズリ)」だったのではないかとエビアンは考えるのです、。



瑠璃色と言うのはもっと輝く様な、しかも深みがあると感じるので、それを出すには「ラピスラズリ(瑠璃)」か少なくとも「アズライト(岩群青)」を混ぜて使わないと発色しないのではないかと思います、。
この頃(1600年代)はこれら顔料の多くは中国からの輸入品に頼っており、400年後の現在でさえ信用のおけない中国人が、注文通りの物を送ったかどうかという点にも疑問はあります、。「岩紺青」という注文に「岩群青」を送ったほどなのですから、。

「支那呉須」では瑠璃色は出ない、。「岩群青」だけでも出ない、。「瑠璃」を日本人陶工が使ったという記録が見当たらない、。しかし、それらの混合によって「陶器の瑠璃色」は出されたに違いないと思います、。


◆京都の「野々村仁清」と大阪の「楽忠や楽雅亭」とは、製作年は1650年前後からという風にほぼ重なりますが、お互いに交流があったかというと、相互の作品に共通点は見当たらないので、交流は全く無かったのだろうと思います、。
◆野々村仁清はあの時代には珍しい芸術家肌の作品を製作したのと比べ、楽忠・楽雅亭は生活雑器の製作を主とした職人だったように見受けられます、。
◆時代が一致するので一応参考に両者の使用した顔料を比べてみました、。



今現在の時点で分かる所はこの辺までです、。後の時代に解明される事を期待しています、。

「野々村仁清の紺や紫」と「楽忠の瑠璃」           No.566_b0034163_19431379.jpg







by evian_th | 2016-07-09 01:43 | 東洋蘭鉢・楽焼鉢・古鉢・ラン鉢
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