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◆「東洋蘭風来記・1」               No.190
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これは、「自然と野生ラン」誌に2003年11月号から2004年10月号まで連載した「東洋蘭風来記」です、。連続12回掲載します、。挿入画像もなるべく同じ品種のものを使用します、。
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◆No.1、「緑苔」か「緑胎」か「緑帯」か・・・
舌の表面に緑色の部分を現わすもので、しかも素心であるものを、春蘭界では習慣的に「緑胎素」と書き表わしてきました。
 では、九州のビッグ秀ガーデンから売り出されている『緑真』(画像)という蘭のように、大きな舌の表面に緑色を現わし、しかもその上に数個の紅点を散らすような芸の場合は、素心では無いので、一体どのように表現すれば良いのでしょうか。
 素心ではないようなものの場合、舌の表面の色を二文字で表現し「緑胎に紅点」と書くと、何の事だか意味が通じないのではないか、一体、「胎」とは蘭のどの部分やどんな状態を表わす文字なのか、と不自然で不思議に感じたのです。

【タイの矛盾点】
 現在、東洋蘭界で使用されている用語、特に蘭の各部を表現する用語の大部分は、200年以上もの昔に、中国で主として「一茎九華」を元にして作られ使用されていたものがほとんどです。
 その集大成とも言うべき本が『蘭蕙同心録』で、これは、1865年から1891年までの間に、あらゆる文献、あらゆる蘭を調べて、1891年に発行されたものなのです。
 この中に「論舌」(舌について)、「論苔」(苔について)、「論点」(点について)という項目があり、「論苔」の項目に、「舌表面の色を苔(タイ)と言う」とあります。
 しかし「論胎」という項目は見当らないのです。胎は、日本でも中国でも孕むまたは娠む、という状態を意味しますが、蘭を実際に交配させた場合にハラムのは舌ではなくて蕊柱(ズイチュウ)と呼ばれる鼻頭の奥の部分であって、舌は単に交配を手助けする昆虫の留り場所にすぎませんから、舌の色や状態を表わすのには「胎」は不自然ではないでしょうか。
 1922年に発行された『蘭蕙小史』という本は著者は居らず、あちこちの文献からの抜粋を寄せ集めた本なのですが、この中にも『蘭恵同心録』からの論舌、論苔、論点、という部分も引用記載されていますが、素心を表す言葉として、三文字熟語で「緑胎素」という記述も出てきます。
「胎」という字が、いつ頃どういう経緯で、どんな状態や部分を表すのに使われたのかという事は、現在では全く不明です。現代中国語字典を見ると、「苔」と「胎」とは同じページに記載されており、その発音も「タ-イ、tai」で全く同一です。この事から勝手な想像をすると、1900年前後に何かの間違いで苔と胎とが混同され始め、それが伝わってきてしまった、という仮説は成立しますし、中国では発音が同一の場合に、当て字が使われるのも茶飯事ですから。もしくは、1900年前後に、現在では全く知られていない本が存在し、そこで胎の字が用いられたのかもしれませんが、証明する根拠は全く残っていません。

【これからの表記について】
 そこで、第一項目にもどりますが『緑真』という蘭の舌の芸を表現する場合には、「緑苔に紅点を印する」と書き表わせば、その意味が通じ、一目瞭然です。
 そして、純白の舌は白苔、黄色っぽい舌は黄苔、舌の一部に緑筋や緑色の部分を現わすものを緑苔と表現すればよろしく、各々が素心であれば緑苔素、白苔素、黄苔素となるわけです。
 また最近、インターネット通販の分野などで「緑帯素」という表現を目にします。舌が緑色を帯びる、という意味では使用者の気持ちは分かりますが、これは全く根拠もなく、論外でしょう。
 春蘭界としては、二文字で表現する場合には「緑苔」と表現し、これの素心の場合には「緑苔素」と書き記すのが最も正しい方法であると結論づけられます。(2003年11月号)
by evian_th | 2008-07-04 00:21 | 日本春蘭(春蘭)
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