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◆「東洋蘭風来記・12」                 No.201
◆「東洋蘭風来記・12」                 No.201_b0034163_1372571.jpg

これは、「自然と野生ラン」誌に2003年11月号から2004年10月号まで連載した「東洋蘭風来記」です、。連続12回掲載します、。挿入画像もなるべく同じ品種のものを使用します、。
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東洋蘭風来記 12      最終回
実生・ネットオークション
 

最後になってしまいましたが「東洋蘭界の将来を左右するふたつの問題」を書いておかねばなりません。

実生苗
 東洋蘭界にもいつかは実生問題の波が押し寄せる事は、ずいぶん昔から誰もが分かっていました。その事を、どう受け止めて、どのように対処し処理するのかを議論せず、また対処法が見出せないまま、数年前から突如として「実生苗が出回る時代」に突入しています。今では、各地で開かれる国際蘭展や交換会、また直接業者の棚で入手できてしまいます。全国には、栃木・群馬の辺り、千葉、京都、四国、北九州などに実生苗作出者がおり、すでに交配第二世代(F2)に入っていると言われています。
◆現在までの所、私が見た範囲で言える特徴は
①当然の事ながら、親よりも完成度が高い(山出しでは考えられないほどに)
②よくよく観察すると、どことなく有名銘品の面影を留めている
③性質は極端に丈夫か、極端に弱いかのどちらかである
④ミズゴケから出したばかりの根は、根先へ向かって徐々に細くなる形状である
・・・・・・等々ですが、これも作に入ってしまえば見分けは困難でしょう。現在の所、価格は1本1万円ほどですが、作出者にとっては十分に採算のとれる値段なので、今後も出回り続けるでしょう。

「東洋蘭」の定義は「温帯産シンビジュームの原種の株分け品」である事からすれば、実生苗は外れるのですが、愛好者や業者が受け入れてしまえば、それなりに東洋蘭でもある訳です。事実、『富貴の光』は誰もが東洋蘭として容認しています。
 東洋蘭界として、実生苗の出現によって何が問題かと言えば「山出し品での高価格な相場が作り難くなる」という1点に限られるのですから、知恵を出し合えば解決策が見出せるかもしれません。現在、私の知る範囲では、赤花、黄花紅舌、紫花、中国蘭との交配の素心、柄物では覆輪、中透けの実生苗が、すでに売られています。

ネットオークション 
パソコンでインターネット上に出品された蘭に対して、写真と説明文を見ながら入・落札する分野をネットオークションと言います。常時250~400点の春蘭を中心とした東洋蘭が出品されています。少額の手数料を支払えば誰もが出品、落札できます。ここにひとつ目の欠陥があり、つまり出品される蘭は、病気の有無、品種の真偽を問われる事はありません。中国春蘭などは半数近くがウイルス株であるようです。また、取引終了後には出品者、落札者がお互いに相手を評価し、パソコン上に取消す事ができない履歴として残ります。ここにふたつ目の欠陥があります。ニセ物、ウイルス病株を買わされても、相手を悪く書くと、こちらへも悪い評価を入れられるのでクレームをつけ難いのです。
◆しかし、そのような制度上の欠点を考えてもなお、この分野は今後数年以内には爆発的に伸びるでしょう。パソコン世代が蘭を買う資金を数年以内には持つと思われるからです。ネットオークションは、ひょっとすると全国の小規模の交換会を全部つぶしてしまう可能性を秘めています。蘭界は方策を練るべきです。

―― 「風来記」を終えるにあたって ――
 1年間にわたって書かせていただいた風来記も今回で終わりです。私に対して何の注文もなしに書きたい事を書かせていただいた日本伝統園芸協会の大山理事長、有野孝佐氏、野田谷治男氏には心からの御礼を申し上げます。新企画の中山出版局長、大塚氏にも御苦労をおかけしました。本文を書くにあたっては、我が蘭友の本井凡夫氏、立岩信彦氏の御協力がなければ続け得ませんでした。とくに本井氏には心から御礼申し上げます。

 そして何より、拙文を根気よくお読みいただいた全国の愛好家の皆様に深く感謝いたします。
 さて、私は東洋蘭界風来坊旅行に出かける事にいたしましょう。(2004年10月号)

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今回をもって、「自然と野生ラン誌」掲載の「東洋蘭風来記」ネット転写版は終わりです、。
中国春蘭の事も奥地蘭のことも、執筆時点は現状の蘭界とは違ってますが、「平成中国蘭ブーム」のキッカケにはなった記事でした、。時間的なズレや、その後の蘭界事情を考え併せてのご質問がございましたら、「文字掲示板」にカキコして下さい、。できるだけ、お答えします、。

by evian_th | 2008-07-26 01:37 | 東洋蘭
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