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富貴蘭鉢・風蘭鉢                    No.528
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◆2014年12月20日、。   東洋蘭・富貴蘭・風蘭


富貴蘭鉢(風蘭鉢)
東洋蘭風来記も満10年を経過いたしましたが、その間、毎月のトップ画面は「蘭鉢」と「万年青鉢」が大部分であり、「富貴蘭鉢(風蘭鉢)」は掲載していません、。
現在、富貴蘭界で使用されているいわゆる「風蘭鉢」は、いつ頃どういう経緯で東洋蘭界に出現したのか、がイマイチ判然としなかったから、というのが一番の理由です、。

「富貴蘭風蘭」は既に江戸時代から栽培されていたらしいことは上掲の絵をご覧頂けば一目瞭然です、。ですが鉢は欽古堂亀祐型といいますか赤土瑠璃浮絵紋様六角鉢です、。
「植え込み材料」は上掲の画像や、最下段1835年出版の「長生草」(堀籠浩史氏提供)文中の挿絵を見れば、現在使用されている「水苔」のように見えます、。が、説明文中には「水苔」という言葉は出て来ません、。
代わりに「水草」(みずくさ)という用語が出て来ます、。、。(<訂正>出て来るそうです、。「水苔とヘゴを混ぜ合わせて植える」という文章が出て来るようです、。訂正しておきます、。)
これより前1818年に出版された「草木育種」(そうもくそだてぐさ)には「へご」という用語が出て来ます、。「へご」を使っていたくらいですから、この絵に描かれた植え込み材は現在の「水苔」でしょう、。「水苔」が江戸時代には既に園芸植物の植え込み材として使用されていたのです、。


残る問題は「鉢」です、。
明治33年に発行された東京の福富京楽堂のカタログには「萬年青鉢・蘭用高鉢・紫金牛鉢」と載っていますし、
◆大正14年発行の東京の錦園堂・手島揫二窯のカタログには「万年青鉢・蘭用高鉢・仙人掌鉢」と載っています、。
いずれも「富貴蘭鉢」は載っていません、。
◆昭和10年に発行された京都の短冊家のカタログに至っては「万年青鉢・蘭用高鉢」のみです、。


さて、ここからが風来記エビアン得意の当て推量・想像・デタラメですが・・・

「富貴蘭」は元々は大株物に作って「京焼」や「三河鉢」などの適当なのに植え込んでいたのです、。時を得て、貴重品種が出現するに至って風蘭も小株になり、それに合う鉢の需要が出て来たのですが当時は専用鉢も無く、「紫金牛鉢」として売られていた鉢の高さを縮めた鉢を注文するに至ったのでしょう、。

それというのも、「ヤブコウジ」や「シャボテン」の大ブームがあって専用の鉢が飛ぶように売れた、とは考えにくいのです、。にも拘らず価格表に「ヤブコウジ鉢」や「シャボテン鉢」が載っていたということは、それらを「風蘭鉢」として用いる需要があったと判断するのです、。

したがって、「福富京楽堂カタログの紫金牛鉢」というのや「錦園堂・手島揫二窯の仙人掌鉢」というのは今でいう「富貴蘭鉢」の事だったのだろうと推察します、。

古くからあった「紫金牛鉢」のデザインを基本とし、それの背丈を低くした鉢や、低くした上に胴体部分を袋式に膨らませた鉢や直線状に下へ向かってすぼめた鉢や、妙に底の浅い鉢などというように、注文主の要望によって形が一定しなかったのだと思います、。「富貴蘭鉢」のルーツは「紫金牛鉢」だと風来記は考えます、。

そして、「紫金牛鉢」が「富貴蘭鉢」へと変化して行くのは、鉢の縁のツバがシッカリとできあがってからだということと、使われている極彩色の顔料が赤色や黄色が多いことから、赤色顔料や黄色顔料が輸入されたり国内生産された明治中期(明治15年~30年)以降のことだろうと考えます、。

ただ、この形の鉢を「風蘭鉢」と呼び、風蘭の根を水苔で巻いて風蘭鉢に入れる現在の栽培法が確立したのは、グッと新しく、昭和の時代の事だろうと思います、。



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この記事ご協力者様・堀籠浩史様・野生ラン編集子様・西口郁夫様・野町敦志様・華幸園さん
by evian_th | 2014-12-20 01:16 | 東洋蘭富貴蘭風蘭
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